1歳半~2歳

ほうれん草やレバーなどが嫌い。鉄分不足が心配です。

2歳半の男の子です。離乳食のときは鉄分不足にならないようにとフォローアップミルクをあげていました。今でもほうれん草、レバーといった食材が苦手で、鉄分不足が心配です。サプリメントや、フォローアップミルクをまだ飲ませた方がよいでしょうか。

お話: 管理栄養士 坂 弘子(さか ひろこ)

本当に鉄不足になっているか、まずは医師に相談してみて。

鉄は、人間のからだを維持するために欠かせないミネラルのひとつ。体内では合成できないため、食べ物からとる必要がある栄養素です。主に赤血球中の「ヘモグロビン」の成分となる栄養素で、肺から酸素を取り込み、全身に酸素を届ける役割を果たしてくれます。ヘモグロビンが不足すると、全身に酸素がうまく行きわたらず、疲れやすくなったり、息切れや頭痛など「鉄欠乏性貧血」の症状が出ます。

ただ、こういった明確な症状が出ない場合もあるので、貧血状態かどうかは、血液検査をしないと正確にはわかりません。もし心配でしたら、健康診断やほかの病気で医師の診察を受けたときに、検査をしたほうがよいか相談してみるとよいでしょう。

ただし、サプリメントを安易に子どもに飲ませるのは避けましょう。

ただサプリメントは、特定の成分を簡単に大量にとることができるので、通常の食事では起こりえない過剰摂取の被害が起こることがあります。また包材の質やサプリメントそのものの品質によって健康被害がおこることも。本当に必要かどうか、これも医師などに確認してから飲ませた方がよいでしょう。

さまざまな食品に鉄は含まれています。

ひと口に鉄といっても、主に動物性の食品に含まれる「ヘム鉄」と主に植物性の食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があり、次のような特徴があります。
ほうれん草やレバーなど苦手な食材にこだわらず、下記の食材から食べやすいものを探してみてもよいでしょう。

【ヘム鉄を含む食品】
そのままでも吸収率が高いのが特徴です。

・まぐろやかつおなど赤身の魚
・肉類の赤身部分、レバー

【非ヘム鉄を含む食品】
そのままだと吸収率は低いですが、いっしょに動物性たんぱく質(肉や魚)やビタミンC(ブロッコリーやキャベツなど)をとると吸収率がよくなる特徴があります。

・大豆製品
・青菜
・ごま
・貝類
・卵黄

鉄が強化された食品などをとり入れても。食べさせ過ぎには注意!

鉄不足が心配でしたら、まずは毎食「主食+主菜+副菜」をそろえた食事を出すことから始めてみましょう。上で紹介したような鉄を多く含む食品を取り入れて、少しずつでも食べたら、たくさんほめてあげてください。
それから、鉄が強化された牛乳、ヨーグルト、チーズなどを、普通の牛乳やヨーグルト、チーズの代わりに食べさせたり、鉄が強化されているお菓子を取り入れてもよいでしょう。1日の乳製品のめやす量は牛乳、ヨーグルトなら200~400gです。フォローアップミルクもその範囲内でコップで飲ませたり、料理に使ったりしてかまいません。

なお、2歳半の1日の鉄の推奨量(ほとんどの子どもが充足する量)は男女ともに「4.5mg」、耐用上限量(過剰にとることで健康被害が起こらない上限)は、男児25mg、女児20mgです。鉄が強化された食品を与えるときは、食品表示で鉄の含有量を確認しながら、1日にとる量が、耐用上限量を超えないようにしてくださいね。

※記事の情報は2019年8月現在のものです。