9~11カ月頃

カミカミ期なのに、全然かもうとしません。

11カ月の男の子です。離乳食がカミカミの時期なので野菜をやわらかく煮て与えたりするのですが、全然かもうとしません。どうしたらいいでしょうか?

お話: 管理栄養士 坂 弘子(さか ひろこ)

舌の押しつぶしができているか、を確認。

赤ちゃんのそしゃく力の発達をみてみましょう。
・初期(5、6カ月頃、ゴックン期)は、ペースト状の食べ物を唇を閉じて口の中にとりこみ、舌で前から後ろに送ってゴックンと飲み込むことを覚えます。
・中期(7、8カ月頃、モグモグ期)は、舌でつぶせるぐらいのかたさの食べ物を、舌と上あごで押しつぶしてから飲み込むように。舌は前後だけでなく、上下に動かすことができるようになります。
・後期(9~11カ月頃、カミカミ期)には、舌と上あごでは押しつぶせないかたさのものを、舌をつかって歯ぐきへ送り、上下の歯ぐきでつぶせるようになります。

まず、舌と上あごでつぶして食べられているかを確認しましょう。5mm角のゆでた絹ごし豆腐を口に入れると、赤ちゃんの唇が左右に引かれてスマイルしているように見え、そのあと、2、3回くらいもぐもぐして飲み込んでいるようなら、舌の押しつぶしはできています。この動きができていないときは、やわらかく煮たかぼちゃや人参などの根菜を一度マッシュにしてスプーンでまとめたものをあげて舌でつぶす練習をし、次第にふっくらと煮た野菜に挑戦していきます。

「歯ぐきでかむ」動きを引き出す。

舌つぶしができているようなら、やわらかく煮た野菜をかまない理由は、スプーンの使い方と食べ物の形状の問題が考えられます。
スプーンの使い方の問題としては、
・吐き出さないようにと、舌の奥のほうに入れている
・上あごになすりつけるようにして食べさせている
ことが考えられます。
このように食べさせていると、舌で食べ物のかたさを判断して歯ぐきに運ぶことができず、そのまま飲み込んでしまいます。
食べさせるときにはスプーンを下唇に置き、上唇がおりてきたら引き抜いて、赤ちゃんが自分で食べ物を取り込めるようにしましょう。

形状の問題としては、
・赤ちゃんの歯ぐきでつぶすにはかたすぎる
・やわらかすぎて舌でつぶせてしまう
・とろみの付けすぎ
の3つが考えられます。
かたすぎると、口から出すか、丸のみしてしまいます。やわらかすぎると、楽に舌でつぶせて「歯ぐきでかむ」という動きを引き出せません。とろみを付けすぎると、かまなくてもつるんと入ってしまいます。
野菜は、おとなが舌と上あごで力をこめてつぶせる、または親指と薬指でつぶせるくらいのかたさで、赤ちゃんの歯ぐきに乗りやすい5~8mm角にして、とろみを付けずにあげてみましょう。前歯が生えてきているようなら、スティック状のゆで野菜やパンなどをかじり取らせるようにして、口の動きを見てみましょう。

※記事の情報は2020年11月現在のものです。