3歳~5歳

身長が低いのですが、食生活は関係ありますか?

4歳の男の子です。周りの子と比べて身長が低いのが心配です。食生活は関係ありますか?

お話: 管理栄養士 坂 弘子(さか ひろこ)

まず、「身体発育曲線」のカーブに沿って身長も体重も増えているかどうかを確認してみましょう。

生まれてからの身長と体重を、母子健康手帳にある「身体発育曲線」のグラフに書き入れて成長の経過と以下のポイントを確認しましょう。

・帯の中の、または帯の外のどのあたりなのか
・発育曲線のカーブに沿って身長も体重も増えているか

発育曲線の帯の中には、94%の子どもが入りますが、帯の中に入っていないと発育に問題があるということではありません。小柄でもカーブに沿っていればお子さんなりの発育をしているので、問題ありません。

もしも、カーブから外れて、あるときから身長が伸びずに横ばいになっている、発育曲線の帯より大きく外れているなど、気になることがあれば小児科医師に相談しましょう。

生まれつき体格が小さいお子さんや、食べることにあまり興味がないお子さんは多くいます。病気が隠れていないか、確認すると安心して過ごせます。

身長が伸びる栄養素や食材はありませんが、成長にはバランスのよい食事をすることが大切です。

身長が伸びるのは骨が伸びるということです。
骨の伸びには栄養、成長ホルモン、性ホルモンのほかに、肝臓などから分泌される成長因子が関係しています。この成長因子は睡眠、栄養、適度な運動によって促進され、逆に栄養不良やストレスによって抑制されます。
また「亜鉛」が不足すると成長に必要なホルモンの産出を低下させることが知られています。

食事と低身長の関係を調べた調査から(※1、2)、病気の影響ではなく低身長である子どもの食事は食材の不足や栄養素の偏りがあることが報告されました。「炭水化物」、炭水化物をエネルギーに変える働きのある「ビタミンB1」、「亜鉛」の摂取不足があるのではないかと考えられています。
「亜鉛」については、米類摂取量との関係が報告され、米類を食べる量が少ないと成長に必要な「亜鉛」も充分に摂取できていないという結果でした。また、食事の脂質量が多く、炭水化物量が少なすぎると成長因子の生成量が少なくなるという結果も出ています。

これを食べると身長が伸びるという栄養素はありませんが、成長には栄養素の過不足をなくし、バランスのよい食事をすることが大切です。


(※1)西本裕紀子,位田 忍,惠谷ゆり,他.低身長児の栄養素等摂取量についての検討―食事摂取基準および国民健康・栄養調査結果との比較―.日小児栄消肝会誌 2012;26:28-36.
(※2)西本裕紀子,位田 忍,惠谷ゆり,他.低身長児における食事の三大栄養素バランスとIGF-1についての検討.New Diet Therapy 2013;28:3-9.

間食も含めて、主食、主菜、副菜を整えてみましょう。

バランスのよい食事とは主食、主菜、副菜が整っていることです。

小食のお子さんや食事に興味のないお子さんなら、食事の量を無理強いせず、とりきれないエネルギーや栄養素は間食で補ってあげましょう。1日1回だけでなく、午前1回、午後1回、夕食が早い場合は夕食後にも適量を食べさせてかまいません。

例えば食事でごはんをたくさん食べられないお子さんには、「きなこおにぎり」、「枝豆ごはんのおにぎり」、「チーズ入りおにぎり」など、炭水化物とたんぱく質源を組み合わせたものがおすすめです。

また、少しでも食べさせようと、だらだらと食べさせたり、お菓子やジュースなど好むものだけをたくさん与えたりするのは避けてたほうがいいでしょう。

睡眠のリズムを整えて、1日3食の食事を適度な空腹の状態で迎えられるように。

睡眠のリズムも成長ホルモンの分泌には大切です。
成長ホルモンは主に夜間睡眠時に分泌され、寝入りばなの深い睡眠時に分泌のピークがあります。
何時間寝なければならない、何時~何時の間でなければならないということはありませんが、夜に強い光を浴びると入眠しにくくなるので夜遅くにスマホやPC、ゲーム機器、テレビなどの電子機器をたくさん見せるのは控えましょう。昼間はよく運動をして、適度に日光に当たることも、ぐっすり眠る手助けになります。

寝る時間、起きる時間が一定で、1日3食の食事を適度な空腹の状態で迎えられるといいですね。

※記事の情報は2021年3月現在のものです。