9~11カ月頃

薄味でもよく食べてくれるけど味付けすべき?

11カ月の女の子です。なるべく素材の味を味わってもらいたいと思い、離乳食に調味料を使わずにいます。味付けすると、どんどん味付けしないと食べなくなるのでは? と不安です。

お話: 管理栄養士 坂 弘子(さか ひろこ)

よく食べるなら味付けを急がなくてもOK。

味付けしなくてもよく食べてくれるのなら、そのままで問題ありません。塩分に含まれるナトリウムはからだに必要な栄養素のひとつですが、調味料で補わなくても、食品に含まれている分で必要な量をとることができます。
また、味付けをしないと味覚が育たないということもありません。咀嚼力がついてくると唾液の分泌量が増えます。噛むことで食材から出た味が、増えた唾液に溶けて、味がよく感じられるようになります。こうして、素材の味がよりよく感じられるようになっていくからです。

食べなくなったら味付け以外にも手立てはあります。

今まで食べていたのに食べなくなったら、味付けを始めたり、かたさや大きさを変えたり、食べるように工夫しましょう。塩、しょうゆ、砂糖、みそなどを使ってかまいません。9~11カ月頃なら、食べてみておとなが「薄い」と感じられるような味付けにしましょう。おとなの食事を取り分ける場合は、1/3くらいの濃さに薄めて。濃い味付けにしてしまうと、食材の持ち味を感じさせながら味覚を育むことができにくくなります。
たとえば、魚はしょうゆを水で薄めたもので下味をつけて焼いたり、おとな用のみそ汁の具にしていた豆腐を取り出して食べさせたりしてみてください。

もし食べなくなってきても、赤ちゃんの様子をよく見て、無理強いしないようにしていけば大丈夫。味覚は味付けだけでなく、視覚、聴覚、嗅覚、触覚にも大きく影響されます。だしの香りや油のコクを足したり、色のきれいな野菜を使ったり、かじりとれるような大きさやかたさにして手づかみ食べをさせたり、ソテーして外側はパリッとしたものなど、周りでおいしそうに食べて見せながら赤ちゃんが喜んで食べるものを探していきましょう。

いっしょに同じものを食べる喜びを少しずつ。

家族といっしょに同じものを食べることは、赤ちゃんにとっては楽しいことで、おとなの真似をして成長していきます。味付けをしないことにこだわりすぎず、1歳を過ぎて、取り分けできるものが増えてきたら、味付けをおとなの濃さの1/2くらいにして家族の食卓の仲間入りを。3歳頃からは、酸味や少しの辛み・苦みなどにも慣らしていき、いろいろな食べ物や味を経験させることも大切にしていきましょう。

※記事の情報は2021年3月現在のものです。