9~11カ月頃

3回食になってから、毎回同じメニューになってしまいます。

9カ月です。離乳食のレパートリーがあまりなくて、3回食になってからいつも同じメニューです。バリエーションを増やすコツなどありますか?

お話: 管理栄養士 坂 弘子(さか ひろこ)

食材を組み合わせて食べているのなら、同じメニューでも大丈夫。
赤ちゃんのようすをみながら、バリエーションを増やしていければOKです。

9カ月で3回食にすすめていて、離乳は順調ですね。3回食になると、母乳やミルクからよりも、離乳食からの栄養の割合が多くなってくるので、離乳食をバランスよく食べることが大切になります。
バランスのよい離乳食とは、炭水化物・野菜・たんぱく質の3つのグループの食材を組み合わせた食事のこと。3つのグループがそろっていたら、同じメニューでも問題ありません。

食材の組み合わせかたは、まず炭水化物のグループは、「お米(おかゆや軟飯)、パン、麺類」から主食を1品選びます。シリアル、オートミールなども炭水化物グループです。
次に主菜として、たんぱく質のグループは「魚、肉、卵、大豆製品、乳製品」から1品選びます。2品以上食べるときは、全体量が多くなりすぎないように調整しましょう。最後に副菜として、野菜のグループから1品以上選びます。いも類、大豆以外の豆類、海藻類、果物もこのグループとして考えてかまいません。
バリエーションを増やすことは、赤ちゃんの食物への興味や食べる意欲を育てるのに役立ちます。余裕のあるときに少しずつやってみましょう。コツをいくつかお伝えします。

いろいろな食材を試して。

9カ月なら、アレルギーがないと確認できれば、いろいろな食材が食べられます。魚は、しらす干しや白身魚だけでなく、ぶり、あじ、さんまなど、脂が多いものや青皮の魚も試せます。肉類は鶏肉だけでなく、豚のひき肉や薄切り肉なども試せますし、のりやわかめなどの海藻類も大丈夫です。

食品の組み合わせを変えて

ひきわり納豆は米がゆと、乳製品はパンがゆに、などと決めつけず、ひきわり納豆と麺類の組み合わせ、牛乳やチーズとおかゆや軟飯でリゾットやドリア風に。

全部混ぜて1品(オールインワン)から2品~3品の献立の日も。

おかゆにいろいろな食材を混ぜて1品で1食完成にできるおじやは、おかゆのとろみで赤ちゃんが食べやすいメニューです。3つの食品グループがそろっていれば問題ありませんが、食感が単調になりやすいです。
余裕のある日は、例えばかぶ・かぶの葉・鮭のおじやでしたら、かぶの葉入りおかゆと鮭とかぶの煮物の2品にしたり、さらに煮物から一部サイコロ状またはスティック状に切ったかぶを手づかみ用のお皿に取り出して3品にしたりすると、食材は同じでもちがった食感が味わえ、バリエーションが広がります。
いつものおじやに、バナナやいちごなどを手づかみしやすく切って添えるだけでもOKです。

切り方を変えて。

7、8カ月頃は、舌と上あごでつぶして飲みこむ時期なので、食材はみじん切りにしてとろみをつけたり、つぶしたりすることが多いですが、9カ月頃になると口のまわりの筋肉が発達してきて、舌でつぶせない食べ物は、舌で左右に寄せて、歯ぐきでつぶして食べられるようになっていきます。
つぶす力は弱いので、やわらかく調理しますが、歯ぐきにのりやすい5~8mm角や、いちょう切りや半月切りも試してみて。手づかみ食べに興味が出てきたらスティック状(1cm角4cm長さ)やサイコロ状(8mm~1cm角)も。

調理法を変えて。

離乳食は、やわらかく煮るという調理法が多いですが、焼く、油で炒めるなどの調理法でも食べられるようになります。
パンはパンがゆから、軽くトーストしてスープにひたしたり、フレンチトーストにしたり、トーストしてそのまま手づかみ食べに。マッシュポテトやマッシュかぼちゃを、油を薄くひいておやきに。油で炒めてから煮込むシチューのようなメニューも。

調味料を使って。

塩、しょうゆ、みそ、砂糖、酢などの調味料は、使わなくても食べるのなら無理に使う必要はありませんが、食べが悪いときや飽きてきたのかなと感じるときは、少量から使ってみて。

フリージング、おとなの食事からの取り分け、ベビーフードの活用も。

1日に3回食事を用意するのは大変です。フリージング、ベビーフード、おとなの食事からの取り分けも活用しましょう。さつまいも、にんじん、ほうれん草など赤ちゃんが食べる食材を食べやすくゆでてきざみ、1週間で使いきれるくらいの量を冷凍したものを利用すると、簡単に食材を増やしたり、彩り豊かにしたりすることができます。ベビー用の冷凍食材の利用もよいですね。
おとなの献立から食材を取り分けて、さらにやわらかくしたり、味を薄くしたりして取り入れるのもおすすめです。みそ汁なら、やわらかく煮た具材をおかゆや軟飯に混ぜるだけです。新しい食材、新しい味の体験がしやすくなります。ベビーフードで、ふだん作らないメニューを試すのもよいでしょう。

※記事の情報は2024年4月現在のものです。