赤ちゃんは鉄分不足になりやすい?心配なあなたに知ってほしいこと
管理栄養士 坂 弘子(さか ひろこ)
「鉄」は赤ちゃんの身体をつくるのに欠かせない栄養素です。とくに母乳育児の場合は、生後6か月頃から欠乏しやすいといわれています。
目次
①赤ちゃんが鉄不足になりやすい理由
※生まれた際に持っている「貯蔵鉄」の量には個人差があります。
鉄は全身に酸素を運ぶヘモグロビンの材料になる重要な栄養素。赤ちゃんは胎内で、鉄を体に貯めて生まれてきます。しかしこの「貯蔵鉄」は、5カ月頃までにほとんど使い切ってしまう量。とくに母乳育児の場合は、母乳の鉄含有量が少ないため、6カ月頃から鉄欠乏を生じやすいともいわれています。
②どれぐらい鉄を与えたらいい?
鉄分を完璧に摂るのは難しい
鉄は不足すると脳の発達にも影響があるといわれており(※1)、必要な量をしっかり与えたい!と思う方も少なくないですよね。
しかし、たとえば6~11カ月の鉄の摂取推奨量は、1日あたり4.5mg(※2)。これはゆでたほうれん草なら3束分、鶏レバーなら50gに相当します。毎日この量を赤ちゃんに与え続けるのは大変!
推奨量を毎日食べないと、必ず鉄不足になるわけではありません。鉄が本当に不足しているかどうかは、乳児健診のときに医師に確認するのがおすすめです。
※1:「乳児期の鉄欠乏について―神経発達、神経症状を中心に―」
https://www.wakodo.co.jp/ikuji/kankeisha/report/pdf/baby23.pdf
※2:「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44141.html
まずは「食材を意識して選ぶ」でOK!
鉄分の量にこだわるあまり、離乳食の食材や調理法が単調になったり、全部食べさせようと一生懸命になりすぎて、離乳食が楽しくないものになるのはおすすめできません。
まずは鉄分を含む食材を意識して選んだり、粉ミルク(鉄分が添加されています)を離乳食の素材として使ったり、鉄分が強化されたベビーフードを取り入れてみて。
おとなも赤ちゃんも無理なく続けられる方法で、鉄分をプラスしていきましょう。
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