1歳半~2歳

友だちのおもちゃを奪おうとするので、児童館に行くとヒヤヒヤします。

1歳7カ月の女の子です。同じ年頃の子どもとふれさせたいと思い、ときどき近所の児童館を利用するのですが、他の子どもがあそんでいるおもちゃを取ろうとし、それを止めると大泣きします。毎回同じようなことが起きるので、児童館にも行きづらくなってしまいました。

お話: 保育アドバイザー 深津 高子(ふかつ たかこ)

おもちゃの貸し借りは高度な脳の作業です。

この時期の子どもは、自己中心的で所有欲が強いのが自然な発達の姿です。「わたしのものは、わたしのもの。あなたのものも、わたしのもの」、という調子で、見たものは全部ほしくなってしまいます。ですから「○○ちゃんに貸してあげて」というのも通じないことが多いでしょう。他の子も自分と同じおもちゃであそびたがっていることがわかる脳になるのは、4歳くらいになってから。それ以前はいったん自分の手元を離れたらそのままなくなってしまうと理解する子がほとんどですから、おもちゃを貸したがらないのは当然のこと。
児童館に行くときには、子どもをよく観察して、くり返し使っている「お気に入り」の絵本やパズルを持っていくのもいいかもしれません。

3歳頃までは「個」が育つ最初の3年間。

3歳くらいまでは、みんなと仲よしになる前に「個」がしっかり育つ時期です 。友だちとは同じ空間にいながらも、個別の遊びをする姿をよく見かけます。親は 、せっかく児童館に連れてきたのだからお友だちを作ってほしい、と期待するかもしれませんが、この時期は一人ひとりが没頭できる対象を見つけてあげて、それをくり返す時間を、たっぷり与えてあげましょう。

少しずつ「小さな社会」に慣れさせて。

ただ、ひとりあそびをしながらも、子どもは少しずつ「社会」を肌で感じていきます。
おとなも、自分の家でもコーヒーを飲めるのにわざわざカフェで飲みたがるように、人には社会的なつながりが必要ですね。
他の人とのかかわりの体験を重ねていけば、少しずつ「貸し借り」も理解できるようになります。トラブルを避けようと、おとなが先回りして関わりの機会を奪ってしまうのではなく、「どうぞ」と「ありがとう」などから始めてみましょう。

「ごめんなさい」は言わせるのではなく、心から。

また、子どもが他の子のおもちゃを奪ってしまっても、「『ごめんなさい』でしょッ!」と怒りと共に謝罪を強要しないでください。「ごめんなさい」は、4歳半くらいになって相手にもニーズがあることを共感できる脳になるまでは、その意味が理解できていないことが多いです。それよりも日頃から、おとな同士が謝るべき場面できちんと「ごめんなさい」を使っている様子を見せていることが大切です。脳が発達して、自発的に「ごめんなさい」が出るのを待ちましょう。

※記事の情報は2015年2月現在のものです。