お母さんの反応がとても興味深くてかむのでしょう。
歯が生え始めると、赤ちゃんはいろいろなものをかみます。今回はおっぱいをかまれて困っているということですね。まず、歯が生えていても授乳はできます。かむことと、それが続いていることが問題なのです。
はじめは悪気なくおっぱいをかんだのでしょう。お母さんは、痛くてびっくりして、声を上げたり表情を変えて赤ちゃんを見たりしたはずです。8カ月だと知恵付きも盛んなころ。自分の行動によってお母さんのアクションを引き出すことができました。もう一回やってみると、今度は真剣な顔で「やめて」と言われた。さて、次はどうなるだろう? 泣いた顔、怒った表情、さとす言い方、大声……、赤ちゃんにとってはそうしたお母さんの反応すべてが「わくわく体験」になっているのだと思います。
かむのはつまらない、と赤ちゃんが感じられるように。
こうしたお母さんにとって困る悪循環を止めるには、赤ちゃんに「お母さんのおっぱいをかんでも楽しくない」と感じてもらうことが必要です。次におっぱいをかまれたら、とても痛いでしょうけど、あえて無表情、無音、ノーリアクションで、授乳を中止して、その場に赤ちゃんを置いて部屋から出てください。目が届くようにしつつ、少しの間で構いません。それでもまたかんだら、同じように接します。
こうして「つまらない、置いていかれた、楽しくない」と思ってもらうことが大事です。
これから授乳量は徐々に減っていきます。
母乳とミルクを混合で進めている場合、「かまれるから母乳をやめて、その分ミルクを増やそうかな」と思う方もいるかもしれません。ですが、これからの時期は食事の進み具合を中心に置いて、補助的にミルクを足すイメージで。母乳やミルクの量は徐々に減っていくもので、今の授乳量自体をキープする必要はありません。ミルクを増やして離乳食が進まなくなると、本末転倒です。
とはいえ、7、8カ月ごろはまだまだ授乳が必要な時期。離乳食が3回食になって安定したころに、ようやく母乳やミルクと食事の栄養バランスが半々になります。もう少しだけ、おっぱいをあげてみませんか。
※記事の情報は2021年3月現在のものです。