3歳~5歳

子どもに魚を食べさせたほうがいいでしょうか?

3歳の男の子です。献立を考えるときに、ついついお肉のメニューになりがちです。魚を食べさせたほうがいいと聞きますが、なぜでしょうか? どのくらいの頻度で食べさせるのがよいですか?

お話: 管理栄養士 坂 弘子(さか ひろこ)

魚には良質なたんぱく質と、体によい働きをする脂質、ビタミンDが含まれています。

肉も魚も良質なたんぱく質を含んでいますが、魚にしかない特徴もあります。

●子どもの脳の発達に関係したり、動脈硬化を予防する働きのある栄養素
…ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA、IPAともいう)

●骨を作るのに役立つ栄養素
…ビタミンD

これらは肉ではとれない栄養素です。いろいろな栄養成分を偏りなくとることが、健全な成長に役立つので、肉ばかりでなく魚も食べさせてあげましょう。

子どもの脳の発達に関係する「DHA」。

魚の脂質には、他の食品にはないドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA、IPAともいう)という脂肪酸が含まれています。DHAは子どもの脳の発達に関係し、動脈硬化を予防します。また、EPAも血栓や動脈硬化を予防する栄養素です。

DHAやEPAはぶりやさんま、まぐろのトロなどに多く含まれています。

骨を作るのに役立つ「ビタミンD」。

また、魚にはビタミンDが含まれています。ビタミンD(※)を含む食品は限られていて、魚以外には卵黄、きのこもありますが、それ以外の食品はごくわずかしか含まれていません。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進し、骨を作るのに役立ちます。不足すると、幼児では「くる病」を発症し、骨がやわらかくなって脚が曲がったり、身長の伸びが遅くなるという症状が現れます。

魚をほとんど食べない食生活だと、将来動脈硬化が進む危険性が増え、ビタミンD不足になる可能性が高くなります。

※ビタミンDは紫外線にあたることにより、皮膚で合成するものもあります。

食卓に出す頻度は2日に1回以上がおすすめ。缶詰やしらすでもOKです。

3歳頃でしたら、1回の食事で食べる魚の量は30~40gなので、2日に1回以上のペースで取り入れるのがおすすめです。

厚生労働省が定める栄養量の基準(日本人の食事摂取基準2020年版)では、DHAやEPAを含めた脂肪酸(n-3系脂肪酸)の目安量が示されています。ぶりなどの脂の多い魚を20~30gとれば1日の目安量がとれます。また、DHAやEPAは魚以外のさまざまな食品にも含まれるα-リノレン酸という脂肪酸からも体内で作られます。

ビタミンDを充分にとるという点からみると、魚は1日30~100gが必要です(魚によってビタミンD含有量が違います)。ただ、紫外線により作られるビタミンD量、卵やきのこから摂取する量もあることを考えると、毎日でなくてもいいでしょう。

1週間の中で肉、魚、卵、大豆製品をまんべんなく取り入れ、魚の種類も白身や赤身などいろいろと食べさせられるように工夫できるといいですね。

魚は切り身だけと考えず、缶詰やしらす干し、ちりめんじゃこ、魚肉ソーセージやちくわ、さつま揚げなども含めて考えると取り入れやすくなります。

日本の食文化を親子で楽しみましょう。

日本は周囲を海に囲まれ、豊かな漁場や川、湖などにも恵まれています。
昔からたくさんの種類の魚介類が採れるため、魚食文化が豊かな国です。旬の魚を生食、焼く、煮る、干す、すり身にするなど、食べ方もさまざまに発達しています。

日本の文化の楽しみ方を子どもにもお裾分けする気持ちで、保護者の方がお好きな魚の料理をぜひ伝えてあげてください。

※記事の情報は2021年3月現在のものです。